CASE STUDY
導入事例
照会回答・取決め書改訂を、生成AIが支援
日医工が目指す業務効率化とベテランの知識伝承
日医工株式会社様 信頼性保証本部
- 業種
- 製造業
- 事業内容
- 医薬品の製造・販売
- 従業員数
- 2,416名(2026年3月末現在)
日医工株式会社は、ジェネリック医薬品を中心に医薬品等の製造販売を手掛けています。多数の医薬品品目を扱い、さらに医薬品の製造委託業先など多くのサプライヤーと取引する同社では、薬事申請や品質保証に関わる文書業務も多く、業務効率化が課題となっていました。
さらに、こうした業務では法令・通知の知識だけでなく、過去の対応事例や社内で培われてきた判断基準も必要です。そのため、経験豊富な担当者に業務が集中しやすく、経験の浅い担当者への業務移管や知識伝承も課題となっていました。
そこで信頼性保証本部では、STiVを活用した3か月間のPoCを実施。「照会回答作成」と「取決め書の改訂」を中心に、生成AIによる業務効率化の可能性を検証しました。PoCでは、取決め書の確認に1週間程度を要していたケースを1日程度で進められる可能性を確認。照会回答でも、過去事例や関連通知を参照した回答案のドラフトを短時間で作成できる手応えを得ました。
こうした結果を受け、PoC終了後もSTiVの継続利用を決定した日医工。導入の背景から具体的な活用方法、今後への期待まで伺いました。
導入のポイント
多数の品目・サプライヤーに伴う文書確認・作成業務の増大
AIを活用した文書確認・作成業務の効率化
知識・経験を要する業務のベテランへの集中
経験の浅い担当者でも進めやすい業務環境
過去事例や社内判断ロジックの属人化
判断プロセスの可視化による知識伝承・業務平準化
INDEX
多数の品目・サプライヤーを抱え、ベテランへの業務集中が課題に
ー STiV導入前には、どのような課題がありましたか。
当社は多数の品目とサプライヤーを抱えているため、薬事申請や品質保証に関わる案件も多く、信頼性保証本部全体として業務効率化が課題になっていました。
また、薬事・品質保証の業務には、単純な定型作業だけでなく、過去事例や関連通知を踏まえた判断など、担当者の知識や経験が求められるものも少なくありません。特に難易度の高い案件では、経験豊富な担当者が中心となって対応する場面が多く、業務負荷が偏りやすいことも課題の一つでした。
そこで、経験の浅い担当者や新任の業務担当者でも、必要な情報や過去の知見を参照しながら業務を進めやすい環境を整え、担当者間で知識やノウハウを共有しやすくすることが求められていました。生成AIを活用することで、業務効率化に加え、業務の平準化や知識伝承にもつなげられるのではないかと考えていました。
「AIを使いたいが、社内業務データを入れられない」課題からSTiVのPoCへ
ー 生成AI活用を検討する中で、STiVを選んだ理由を教えてください。
社内でもAI活用に関する教育が進み、生成AIへの関心は高まっていました。ただ、薬事や品質保証では機密性の高い情報を扱います。一般的な生成AIを使いたいと思っても、秘密情報や契約上の観点から、実際の業務文書を入力することにはハードルがありました。
その中でSTiVは、法人企業内での利用を前提とした環境やセキュリティが整えられていること、製薬企業での導入実績が多数あることに、さらにAIチャットだけでなく、文書同士を比較したりチェック結果をもとに文章作成まで支援したりできる点に興味を持ちました。
特に文書チェック・作成支援機能は、自分たちが抱えていた業務課題に合うのではないかと感じました。他の生成AIサービスの話も聞きましたが、実際にPoCまで進めたのはSTiVだけでした。PoCでは、「照会回答」と「取決め書改訂」の2つをテーマとして検証しました。
過去事例と最新通知を参照し、照会回答のドラフトを短時間で作成
ー 照会回答業務では、どのようにSTiVを活用しましたか。
医薬品の承認申請を行うと、当局から申請内容に対する照会事項が届きます。その回答を関係部署で作成し、最終的に薬事部が取りまとめて回答する業務があります。
回答作成では、関連する通知だけでなく、過去の類似した照会回答や社内で蓄積してきた考え方も参照します。例えば、通知に「適切に管理すること」と書かれていても、何をもって「適切」とするかは一義的ではありません。どのデータを根拠として、どこまでを許容するかといった、自社で積み重ねてきた判断ロジックがあります。
PoCでは、過去の類似回答や関連通知、必要なデータをSTiVに参照させ、回答案を作成しました。過去の日医工の考え方を踏まえながら、現在の通知にも沿った文章を作ることができ、実際の回答作成に使えるドラフトになる手応えがありました。
ー 業務時間にも変化はありましたか。
案件によって難易度が異なるため一概には言えませんが、今回の検証では、従来なら半日から1日程度かかると考えられる回答案について、1時間程度でドラフトを作成できるケースがありました。回答作成では、最初のドラフトを作るまでが大変です。ゼロから考えるのではなく、STiVがベースを作り、担当者が確認・修正する形にできれば、大きな効率化につながると感じました。
一方で、画像化されたPDFや、多数の資料を組み合わせる必要がある案件など、現在の機能では十分に活用しきれないケースもあります。そのため照会回答については、STiVのさらなる進化にも期待しつつ、今後も実案件で利用を続けていきたいと考えています。
取決め書の不足箇所を抽出し、改訂案まで作成。1週間の作業を1日で
ー 取決め書の改訂には、どのような課題があったのでしょうか。
製造業者などと締結する取決め書には、GxP関連の省令・ガイドライン・通知等に基づいて記載すべき事項があります。
新規作成の場合は最新のテンプレートを利用できますが、難しいのは既存文書の改訂です。長年運用している間に法令や要求事項が変わるため、現在の要求事項と既存文書を照らし合わせ、「何が不足しているのか」「どこをどう直すのか」を判断しなければなりません。不足事項が分かっても、それを既存文書のどこに入れ、前後の文章に馴染むようにどう書くかには経験が必要です。
経験の浅い担当者の場合、長い取決め書を最初から読み、さらに改訂項目確認用の社内チェックリストと照らし合わせるだけでも大きな負担になっていました。
ー STiVを使うと、どのように変わりましたか。
STiVに現在の取決め書とチェック項目を比較させることで、「記載されている項目」「不足している項目」を整理できます。さらに、不足している内容について、既存文書の文章に馴染むような改訂案まで作成させることができます。これまで人が行っていた「要求事項の確認」「既存文書との照合」「不足事項の判断」「改訂文の作成」という一連の作業を支援してもらえるため、経験の浅い担当者でも、まず何をすればよいのかが分かるようになります。
新たに取決め書業務を担当した人の場合、従来はチェックリストを使った確認だけでも1週間程度かかることがありました。それがSTiVを使うことで、4~6時間程度、1日の中で進められるケースがありました。ベテラン・経験者にとっても、これまで丁寧に確認すると1日2件程度が限界だったところ、複数の文書をあらかじめSTiVでチェックしておき、その結果をまとめて確認するような進め方ができるようになり、生産性の向上に期待が持てるようになりました。
業務効率化だけでなく、ベテランの知識を次世代へ。PoCから継続利用へ
ー PoC後もSTiVを継続利用することを決めた理由を教えてください。
取決め書業務で一定の効果を確認できたことが大きな理由です。照会回答についても課題は残っていますが、条件が合えば大きな効率化につながる可能性を感じました。また、PoCでは文書チェック・作成支援を中心に検証しましたが、STiVにはAIチャットや文書検索もあります。本部内のルールや資料を蓄積し、必要な情報をすぐに探したり、質問して回答を得たりするなど、ナレッジマネジメントへの活用にも可能性を感じています。
ユーザー数の上限がなく、利用部門やユーザーを広げやすい点も、継続利用を判断するうえでメリットでした。他部門へのSTiVの利用拡大も進めていきたいと考えているため、大きな後押しになりました。
ー 今後はどのような効果を期待していますか。
特に期待しているのが、ベテランから経験の浅い担当者への知識伝承です。品質保証や薬事の仕事では、ベテランの頭の中に「この案件ならこの通知を見る」「この過去事例を参考にする」といった判断があります。こうした知識や考え方を経験の浅い担当者にも分かりやすく共有し、より幅広い業務を担えるようにしていくことが重要だと考えています。
STiVを使えば、ベテランが選んだ資料をもとにAIが作ったアウトプットを一緒に見ながら、「なぜこの通知を参照するのか」「どこを修正すべきなのか」を説明できます。単に人から人へ口頭で伝えるのではなく、同じアウトプットを見ながら話せることで、知識レベルが異なる担当者同士でもコミュニケーションしやすくなります。これにより、より実践的な教育や知識共有に時間を充てることができます。
「ベテランの頭の中をSTiVで表現する」という使い方ができれば、業務時間の短縮だけでなく、これまで個人に蓄積されてきた知識や判断を組織全体で共有し、次の担当者へつたえていくことにもつながると考えています。
今後はAIチャットや検索機能の活用も広げながら、利用マニュアルや業務ごとの使い方も整備し、信頼性保証本部全体の業務効率化とナレッジ活用につなげていきたいです。